高橋院長は、かつてはオリンピックやサッカーのワールドカップなどを楽しみに見ていたという。
「頑張ってきた選手は立派ですし、準備にあたった人たちも大変な中でやってこられたでしょう。そのこと自体はとても尊敬しますが、やはりこの状況で五輪はやってはいけなかった」
東京五輪は幕を閉じたが、五輪後に開催されるパラリンピックの中止を訴えたうえで、こう話す。
「若い人は死者数が少ないという楽観的な意見を耳にします。なぜ死者数が少ないか。それは病院で重症化しないように治療してきたからです。われわれも一年以上、経験を蓄積し、薬剤の使い方もわかってきました。看護スタッフも飛沫をあびながらも患者さんのたんを吸引し、肺炎を防いできました。全国の多くの医療従事者の献身によって、食い止められてきたのです。今後、病院に入れず自宅療養で亡くなってしまう方、特に40代から50代が増えてくるでしょう。そうした方を一人でも減らすために何ができるか、知恵を絞り、全力で対応していきたいと思います」
(文/AERA dot. 編集部・國府田英之)