安部若菜さん(撮影・小黒冴夏)
安部若菜さん(撮影・小黒冴夏)

アイドル失格』は、アイドル側とファン側、ふたりの主人公の視点が入れ替わりながらストーリーが進められていく。

「アイドル側は、自分が普段見ている景色や感覚をある程度落とし込んでいけばいいのかなと思いました。実際に自分が経験してきた悩みなど、反映している部分もあります。NMBのメンバーにも、みんなのファンはどんな感じなのか、普段どんなふうに思っているのかを聞いたりもしました」

 問題なのは「オタク」側の描写だ。

「いわゆる“ガチ恋”の人はどんなことを考えて応援してくれているのだろう、じゃあ推しが特にいない人はどうなんだろう、アイドルファンの方がどんなことを普段思っているのかいろいろ検索してみたり、私のブログやツイッターへのコメントをあらためて読み返してみたりしました。自分たちが普段言い慣れない『オタク』という言葉をあえて使ったのも、小説の中でのバランスを考えて、『ファン』じゃなくて『オタク』と呼ばせてもらったほうがいいだろうということからです」

 いわゆる“エゴサ”はする?

「はい(笑)。いろいろなことをつかめる気がします」

 もしかしたら安部さんも実々花のようにファンのツイートやブログのコメントを見て気になっているかもしれないと思うと、ファンの気持ちも変わってくるかもしれない。

「ツイートやコメントをするときに、ちょっとドキドキしていただいたりしたらうれしいですね」

 初恋は小学2年生だという。

「同級生の子でした。今思えばそれは本当に恋だったのかもわからないぐらいですが」

 そのときの気持ちはこの小説にいかされては……?

「さすがにないですね(笑)。でも昔から本を読んではいろんな想像や妄想をするのが好きでしたし、恋愛小説や恋愛映画を見るのも好きなので、もし自分がこんなきっかけで恋をすることになったらどんな感じになるんだろう、二人が出会うことでそれぞれの気持ちや環境にどんな変化が訪れるんだろうと、楽しくて難しいところでしたが、それこそ想像や妄想力を発揮させました(笑)。言葉だけで伝える難しさは歌って踊る表現とは全然違います。自分の理想の恋愛みたいなものも入っている部分もあります」

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作詞には「ちょっと興味がわいています」