そのためには不動産会社の何社かに声をかけてみる。要望などを聞いてくれそうか。竣工時の図面を用意して見せてくれるか、リフォームの使用材料なども細かく教えてくれるのか。信頼できる担当者を見つけることこそが、好物件に出合う近道かもしれない。
■住宅診断士らに頼む方法もあり
物件のチェックが難しい場合、料金はかかるものの、「ホームインスペクター」と呼ばれる住宅診断士に頼むのも一つの方法だ。
ホームインスペクターは、日本ホームインスペクターズ協会が認定した民間の資格。物件診断は屋根や外壁、床下などの劣化状態を目視で診断するのが基本で、機材を使って詳細に調べることもある。目視の診断であれば料金は数万円、詳細な診断を頼むと10万円以上のケースもあるという。
田村さんのさくら事務所では、首都圏などにおいて、物件の大きさ100平方メートルまでで4万9500円(税込み)、100平方メートル超は割り増しとなる。確認するポイントとしては、部屋が傾いていないかといった構造的な瑕疵の有無▽雨漏りや水漏れがないか▽日常生活で困る部分がないか──などだ。
もっとも、ホームインスペクターに依頼しても、リフォーム後の壁紙の下の状態までは確認ができない。床下の配管の状況や水漏れの有無も、主に洗面台やキッチンシンク下の床面にある床下点検口を開けて見える範囲だけの確認となる。それでも、多くの物件を見てきたプロの視点を通してチェックしてもらうのは心強い。
リフォームを担当した業者の良しあしを見極める際には、物件の成約数の多さや口コミなどが参考になる。
実績はもちろんのこと、専門が水回りだったり、外壁塗装だったり、耐震改修の技術を売りにしていたりと、業者の得意分野が何なのかも押さえておきたい。
住宅リフォーム推進協議会、リノベーション協議会、日本住宅リフォーム産業協会といった業界団体に加盟しているかどうかも、信頼性を見るうえで目安になるかもしれない。
中古マンションの購入には、くれぐれもチェックを怠らず、時間をかけてでも納得できる物件を見つけてほしい。(本誌・浅井秀樹)
※週刊朝日 2021年8月20‐27日号より抜粋
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