アニメや漫画の作品好きが高じて、舞台と思われる場所を訪ねることを、ファンは「聖地巡り」と呼んでいる。外出もままならない夏、まずは作品に触れてイマジネーションを高め、コロナ禍が落ち着いたら訪ねてみるのは、いかがでしょう?
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東京都荒川区にある南千住駅。ここから南に5分ほど下ると「泪橋(なみだばし)交差点」がある。旧日光街道と明治通りが交差しているが、周囲を見渡しても橋はない。元々は近くに思川という川が流れており、そこに「泪橋」という橋がかかっていたという。江戸時代には近隣に「小塚原刑場」があり、処刑される者との別れの場から、そう名付けられた。
実はこの泪橋、漫画家のちばてつやの代表作「あしたのジョー」の舞台として知られている。連載当時から「泪橋」そのものはないが、作中では泪橋の下にボクサーの主人公、矢吹丈が所属する丹下ジムがある設定となっている。
この「泪橋交差点」から南西に10分弱ほど歩くと、土手通りに面して「あしたのジョー像」と呼ばれる、矢吹丈の等身大の像がある。道中には「1泊2000円」などと書かれた簡易宿泊所も立ち並んでいる。ここは「山谷(さんや)」と呼ばれていた地域で、かつては日雇い労働者の街として栄えた。街を歩くと矢吹丈をはじめとする作中の登場人物と、ひょっこり出くわすような気持ちになってくる。
所変わって、世田谷区の東急田園都市線・桜新町駅。改札を出て地上にのぼるとすぐ、ある国民的キャラクターがお出迎えする。サザエさんだ。昭和期にここに作者の長谷川町子が住んでいたことや、作中に登場する酒屋「三河屋」のモデルが実在した(現在は「セブン‐イレブン世田谷サザエさん通り店」)ことから、“サザエさんの街”として知られる。
近くには長谷川町子が集めた美術品やサザエさんにまつわる展示がされている「長谷川町子美術館」や「長谷川町子記念館」があり、駅から美術館にかけての通りは「サザエさん通り」と名付けられている。桜新町商店街の一部になっており、美術館への道中にある桜新町商店街振興組合の看板にはサザエさんの顔が描かれている。まさに、街全体がサザエさん一色になっているのだ。