広島、県がバッハ会長に来広を依頼したのならば、自治体が警備代を支払うというのは自然に思える。では、なぜ、IOC、大会組織委員会側に支払いの交渉をしたのか。広島県、市はトップが今回の経緯について説明責任を果たすべきだろう。

 そもそもバッハ会長の評判はお世辞にも良いとは言えない。日本国内や海外で五輪中止の声が高まっていた5月、米有力紙ワシントン・ポスト(電子版)がバッハ会長を「ぼったくり男爵」と命名。

 五輪開催の目的が金であることを指摘し、五輪の中止は「苦痛を伴うが、浄化になる」と訴えた。来日後に橋本会長と公開で行われた会談の際には、日本国民に安全を訴えるつもりが、「最も大事なのはチャイニーズピープル…」とまさかの言い間違え。すぐに「ジャパニーズピープルの安全安心です」と言い直したが、日本人の感情を逆撫でするような発言で大会関係者を呆れさせた。

 また、開会式では猛暑の中で13分もスピーチし、各国の選手団は途中で寝っ転がる選手が続出する事態となった。五輪閉幕翌日(9日)にはまさかの“銀ブラ”。悠々と東京・銀座の街を散策している姿が目撃され、ツイッターで動画や写真が拡散された。

 大会関係者は入国後14日間を過ぎると行動制限はなくなるが、IOCは選手たちに大会中の観光を厳しく禁じただけに批判の声が相次いだ。しかし、丸川珠代五輪担当相はバッハ会長の”銀ブラ”に対し、「不要不急であるかはご本人がしっかり判断すること」とスル―。加藤勝信官房長官も政府として問題視しない考えを強調した。

「ぼったくり男爵」にやりたい放題されても、請求書も出せず、なすすべもない日本のトップたちの姿は国民にどう映るだろうか。
(牧忠則)

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