AERA 2022年12月5日号より
AERA 2022年12月5日号より

 後遺症のリスクも再感染した人は高かった。肺の機能に関連する後遺症は1回感染の人の3.54倍、心臓など循環器関係の後遺症は3.02倍、疲労感は2.33倍、胃腸など消化器関連の後遺症は2.48倍、腎臓関連の後遺症は3.55倍、メンタルヘルス面での後遺症は2.14倍、糖尿病は1.7倍リスクが高かった。

 初回感染から2回目の感染までの期間は127~330日と幅があり、中央値は191日間だった。2回目から3回目の感染までの期間は115~228日で、中央値は158日だった。次の感染までの期間の長さは、重症化や後遺症の起こるリスクとは関係なかった。

■感染回数が増えるほど

 再感染した人のうちワクチンを2回以上打った人は36.2%、1回打った人は12.6%、打っていない人は51.3%だった。1回だけの感染の人ではワクチンを2回以上打った人は47.2%、1回打った人は11.7%、打っていない人は41.1%だった。一見、1回だけ感染の人の方が、ややワクチン接種率が高いように見えるが、死亡や重症化、後遺症の発生リスクは、ワクチン接種の有無とは関係なかった。

 一方、感染の回数が増えるほど、リスクは高くなる。

 同じデータベースの1度も感染していない533万4729人と比較すると、1回だけ感染した人は、少なくとも1種類の後遺症で悩むリスクは1.37倍高かった。それが2回の感染になるとリスクは2.07倍、3回以上の感染だと2.35倍に高まった。一方、2回感染の人は、1回感染の人よりも後遺症のリスクが1.51倍高かった。

 再感染するとなぜ重症化などのリスクが高くなるのかについては、まだ解明されていない点が多い。ただ、研究チームは、1回の感染によって何らかの形で損なわれた健康状態が、完全には感染前には戻らないうちに再感染したために、再感染による健康影響が、その前の感染よりも大きくなった可能性があるという。

 再感染しやすいオミクロンの系統に限らず、新型コロナウイルスがこのまま比較的短期間で変異を続ければ、再感染のリスクは続く。研究チームは「さまざまな変異に対して効果があり、効果の持続期間ももっと長いワクチンの開発や、再感染の機会を減らすために感染を拡大させない対策が必要だ」と強調する。(科学ジャーナリスト・大岩ゆり)

AERA 2022年12月5日号