「第8波」を見据え、最新対応の研修を行う医療従事者たち。11月17日、千葉大病院で
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 オミクロン株の新しい亜系統が増え、再感染が懸念される。再感染により死亡や入院のリスクが高まる恐れのあることが米国の研究チームの分析でわかった。2022年12月5日号から。

【都内のオミクロン株亜系統の推移はこちら】

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 これまで流行していた新型コロナウイルスのオミクロン株BA.5系統に代わり、さまざまな亜系統が登場している。世界保健機関(WHO)によると、500種類以上のオミクロン株の亜系統が世界で報告されている。

 米疾病対策センター(CDC)によると、米国内で分析されたウイルスのうち、BA.5が占める割合は10月30日~11月5日の週に44.6%と過半数を割り、11月13~19日の週には24.0%になった。

■亜系統が増えている

 代わって増えてきているのはオミクロンの別の亜系統、BQ.1とBQ.1.1だ。同週には合わせて49.7%を占めた。

 国内ではまだBA.5が主流だが、割合は減りつつある。東京都によると、9月20~26日の週に分析したウイルスのうち、BA.5は97.9%を占めていたが、11月1~7日の週には80.1%まで下がった。代わってBQ.1.1やBQ.1、BA.2.75、BF.7、BN.1といったオミクロンの亜系統が増えてきている。

 国立感染症研究所(感染研)は民間の検査機関2社による約800検体のウイルスの分析結果を基に、全国のウイルスの亜系統の構成比率の推移を推計した。11月15日時点の推計で、11月21~27日の週にBA.5の割合は74%に下がり、代わってBQ.1.1を含むBQ.1系統が13%、XBBが5%に増えるという推計結果だった。

 WHOによると10月31日~11月6日の週の時点では、世界的にもまだBA.5が72.1%を占めて主流ではあるものの、やはり別のオミクロンの亜系統が増えつつある。特に増えているのがBQ.1系統(同週に23.25%)やBA.2.75(同6.78%)、XBB(同3.33%)などだ。

 今後、新たな亜系統のうちの1種類が主流になるのか、複数が並行して流行するのかは現時点では不明だ。

 ところで、ワクチン接種や感染により体内に新型コロナウイルスに対する免疫ができ、新たな感染を防いだり、感染しても重症化するのを防いだりする。この免疫力で重要な役割を果たしているのは、体内にできる、新型コロナウイルスに対する中和抗体だ。

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