■『将来の高齢者』は身の丈を伸ばす努力を

 それでは、『将来の高齢者』はどうすれば良いのでしょうか?

 私は、いつまでに○千万円貯める、と言った画一的な数値目標を議論することにはあまり意味がないと思っています。必要資金はご家族の状況やライフスタイルによって異なりますし、豊かな老後生活を送るためには、心身とも健康であることがお金よりも重要です。

 人生を充実させるためには、本業に打ち込み、自己実現を図ること。その結果として収入が増えていけば言うことはありません。まずは本業での収入増を目指し、身の丈を自分の力で伸ばす努力をすべきです。

 そのうえで金銭的に将来に備えようとするなら、まずは収入の9割で生活してみることをオススメします。残り1割を将来のためにとっておくのです。

「バビロン大富豪の教え」という名著があります。ジョージ・S・クレイソンによって1920年代に書かれたものですが、現在でも全世界で読み継がれています。

 その本で述べられている原理原則の中に、「収入の10分の9でやり繰りする」という“教え”があります。

 人間の欲望に際限はなく、お金があればそれを使ってしまうのが人間の性(さが)です。生活水準を上げてしまえば、元に戻すのは大変です。

 一方で、10ではなく9の範囲で生活をしようと思えば、人は何とかやりくりをして生活します。人は身の丈に合った暮らしをするのです。

 残った1割は、銀行預金においておくのではなく、つみたてNISAやiDeCoなどの税制優遇制度に加入し、こつこつと『長期・分散・積立投資』を行うことが身の丈を伸ばすことに繋がります。

 政府も税制優遇制度を用意して、自助努力を勧めています。

 自分と家族の未来は自分で守る。

 ステーホームのこの夏、ご家族でそれぞれの実情に即して、将来を考えてみるのも良いかも知れませんね。