「トレーニング後に夕食で栄養を取って、ぐっすり眠れるのがいいですね。食事で筋肉を作るたんぱく合成が盛んになります。ノンレム睡眠になると、脳下垂体から成長ホルモンが分泌され、体を修復しながら、脂肪を分解する効果が期待されています。つまり筋肉を作りながら、脂肪を少し落とすことができるのです」

■就寝直前の運動はNG

 効率よく体脂肪を落としたいなら、筋トレの後に有酸素運動を加えると効果が高まる。数分だけでもいいし、家事をするだけでも、効果があるという。ただし、就寝前に運動すると交感神経が活発になって寝付けなくなる可能性がある。布団に入る1時間前には終わらせよう。

 そういえば、朝や午後に運動すべきだと説く指南書もある。

「成長ホルモンがあまり出ない午前に筋トレをすると、体が活性化する勢いがつき、そのまま夜まで脂肪燃焼が続きます。ですが一般の人が鍛える分には、午前も午後もそこまで大差はないと考えていいでしょう」(石井さん)

 大切なのは、筋トレの時間帯を一定にすることだ。「今日は朝、明日は夜ときまぐれにしない方がいい。筋トレによって、自律神経やホルモンの分泌リズムが崩れてしまいます」(同)

 痩せたくても、その一歩を踏み出せないあなたには、石井さんが背中を押す。

「筋肉は何もしていない時でも勝手にエネルギーを消費します。筋肉を増やすと基礎代謝量が増えます。生きていくのに必要なエネルギーのことで、普通の人が1日に消費するエネルギーの70%を占めます」

 石井さんによると、運動で筋肉が1キロ増えると、交感神経の活性化とあいまって1日最大50キロカロリー分代謝が増えると考えられる。食生活を変えなくても、1年で1万8千キロカロリー消費が増え、脂肪が2~2.5キロ減る計算になる。逆に筋肉が1キロ減ると、1日約20キロカロリー分代謝が減る。つまり筋肉が2キロ減った状態が1年続いた場合、食生活が変わらなければ年1万5千キロカロリー、つまり脂肪が2キロ増える可能性がある。(ライター・井上有紀子)

AERA 2021年8月30日号より抜粋

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