この記事の写真をすべて見る
「2番出口に向かうエスカレーター近くで、後ろから走ってきた人物が男女2人に何かをかけ、直後に男性のうめき声が上がった。あまりにも一瞬のことで周囲にいた人はびっくりしていた」(事件直後に現場に居合わせた男性会社員)
8月24日午後9時10分頃、東京都港区白金1丁目の東京メトロ白金高輪駅で通行人が薬品をかけられてけがをしたと消防に119番通報があった。警視庁と東京消防庁によると、22歳の男性が顔と背中をやけどする全治6か月の重傷を負い、34歳の女性が足にけがをした。2人とも意識があり、命に別条はないという。
捜査関係者によると現場に残された遺留物を鑑定したところ薬品は硫酸と判明。薬品をかけた男はそのまま立ち去ったという。男は身長175センチくらいで小太り、黒い野球帽にマスク姿で30代から50代くらいだという。
「現場では消防が直ちに放水活動し中和措置を取ったが、辺りは何かが焦げたようなにおいが漂っていた。男は現場から北の方向の麻布方面に逃げたようだ」(捜査関係者)
警視庁は事件発生からおよそ3時間後、逃げた男の防犯カメラ画像を公開した。公開された画像からは、男が右手に白いゴム手袋をはめているのがわかる。
「東京メトロと警視庁にはテロなどに迅速に対処できるようにカメラ画像をリアルタイムで見ることが出来る専用線が敷設されている。今回の事件ではその画像を元にSSBC(捜査支援分析センター)が発生直後からリレー方式による追跡を始めたが足取りが途切れ、広範囲な画像の収集に時間を要している」(警視庁幹部)
22歳男性が硫酸をかけられた状況も明らかになってきた。捜査関係者によると状況はこうだ。
2番出口に向かうべく改札を出た22歳男性。そこに後ろから黒ずくめの男が静かに近づいていく。右手には小瓶に入った硫酸。すでに右手には手袋がはめられている。その直後、男は男性を追い抜きざまに、顔にめがけて小瓶の硫酸をかけた。あたりに散逸した硫酸で近くにいた34歳女性は転倒した。