別所も中学時代から評判の本格派右腕。近畿大会の綾羽戦では2回を投げて無失点、4奪三振と好投を見せている。フォームのバランスはまだ不安定だが、球のスピードはさらに速くなりそうな雰囲気は十分だ。川井は186センチの大型サウスポー。夏の甲子園ではベンチ入りメンバーから外れたものの、選抜の智弁学園ではリリーフでマウンドも経験している。まだ細いだけに体ができてくれば今後が楽しみな存在だ。
未知数なのが野手陣。今の3年生は池田陵真、宮下隼輔、野間翔一郎などが旧チームから出場機会が多かったが、2年生ではキャッチャーの松尾以外ほとんど公式戦には出場していない。能力の高い選手は多いはずだが、どのように点をとれる打線を作るかが重要になりそうだ。
2010年代は圧倒的な強さを見せてきたこともあって、甲子園で勝たないと評価されないというのは辛いところだが、入部してきた選手も目指しているのは全国の頂点であることは間違いないだろう。またそのような意識が受け継がれてきたからこそ今の大阪桐蔭があるはずだ。
大阪府内には最大のライバルである履正社に加えて、この夏に苦しめられた興国、関大北陽、金光大阪など力のあるチームは多いだけに、再び甲子園に戻ってくることも決して簡単なことではない。これまでも負けを経験してから更に強くなってきた印象が強いだけに、来年の春にはまた新たなチームで鮮やかな復活劇を見せてくれることを期待したい。(文・西尾典文)
●プロフィール
西尾典文/1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行っている。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員