あの目……何かに似ている。あ、落語家。我々の目も一見笑ってそうで笑っていない、全員(推測)。でも何故か、わずかな報酬でも精一杯のサービス。表向き「喋れるだけでありがてえ」みたいなコト言いつつ、後で仲間内で「あそこはギャラ少ねえな」みたいなコト言いがち。「俺はクッキー(安い仕事)なんぞにゃなびかねえぜ」と、背を向けてるヤツも足元に転がってきたら案外「パクッ」と行きがちなのも……似ている。熊牧場のクマ=落語家?
以上が今夏のお休み。まだ原稿にしてなかったので吐き出してみた。次の休養は年末だ。しっかり休みたい。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/1978年、千葉県生まれ。落語家。2001年、日本大学芸術学部卒業後、春風亭一朝に入門。この連載をまとめたエッセー集の第1弾『いちのすけのまくら』(朝日文庫、850円)が絶賛発売中。ぜひ!
※週刊朝日 2022年12月2日号