このドラマは不倫や浮気だらけなのに、それほどドロドロ感が無い。海をプカプカと漂う心象風景のせいか。二葉の妻の浮気もまた、息苦しい現実(子供に恵まれないこととか)から逃避する行為だからか。
あと、直太朗。ベランダを隔てる壁(「緊急時にはこの壁を突きやぶって隣へお逃げ下さい」と書いてある)越しに、麻衣子がグイグイ来るんだけど、そこは直太朗。
たとえ壁の下からドーナッツ手渡されても、LINE交換しても、きっと直太朗ならドロ沼一歩手前で踏みとどまるはず。だって直太朗ですよ。
そんな新婚2年目の部下の嫁に手を出してラブホテルなんか行った日にゃ、枕元で森山良子が「ざわわ、ざわわ」歌うし、おぎやはぎが黙ってない。
うわきとうきわ。溺れた心を救ううきわは浮気じゃない? いっそ肉体関係よりもたちが悪いかもしれないけど。
振り返れば芸能界、もはや不倫、浮気は市中引き回しの上、打ち首獄門くらいのヤバい案件。荒海に漂う東出昌大に渡部建、サレではなくシタ当事者にはもう、誰もうきわ投げてくれないのな。
カトリーヌあやこ/漫画家&TVウォッチャー。「週刊ザテレビジョン」でイラストコラム「すちゃらかTV!」を連載中。著書にフィギュアスケートルポ漫画「フィギュアおばかさん」(新書館)など
※週刊朝日 2021年9月10日号