僕は10代の時、道路工事の現場みたいなところでアルバイトをしていました。休憩がお昼の休憩の他に午前と午後に1回ずつあって。外で仕事をしていて暑くて喉が渇くから、飲み物休憩があったんですね。

 僕はアルバイトで一番下っ端だから缶ジュースを買いに走らされるんですが、それでみんなで一服するという時間が、すごく素敵な時間で。缶コーヒーを飲んで一服して「じゃあまたお昼まで頑張るか」「仕事終わりまで頑張るか」っていうのが、すごくかっこいい大人に見えました。一服するという文化をそこで初めて知ったんですよね。現場にいたおっちゃんたちがブラックの缶コーヒーを飲んでいる姿がすごくかっこよくて。いまだにブラックの缶コーヒーを見ると思い出すことがあります。

 そのあと自分の人生でつらいことがあった時、例えば受験勉強とか失恋をしたとか仕事で壁に当たったとか、そういう時もその「一服する」時間、「とりあえず一回外に缶コーヒー買いに行くか」っていう時間によって救われたことが本当にたくさんあります。空気を変えるというか。

 特にオチもない話で恐縮ですが、たまにはこういうのもいいんではないでしょうか(笑)。ぜひまたみなさんの茶飲み話、聞かせてほしいです。

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「VOGUE GIRL」での連載「WEEKLY! しいたけ占い」でも人気

AERA 2021年9月6日号

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しいたけ.

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しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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