
チェン:日本はこれからどんどん明るい未来を見ていくんだという時代背景に、ユーミンの音楽がうまくシンクロしていった面もある。
山内:ユーミンは、好奇心のままに街を歩くうちに獲得した知識や知恵をもつ「ストリートワイズ」なんですね。そして、ものすごく意志が強い。
チェン:それに直感力もすごくある。
山内:そう! 音楽も決して理詰めでなく直感でやっているんだけれど、音楽理論からは外れていないんですよね。絵の勉強も、想像力につながった。自分で自分を育てる意識もあった気がします。
チェン:とことん好きなことを追求したのが成功の秘訣でしょう。僕にとってのユーミンは、知り合ったときは「音楽を目指してる少女」で、次に知ったときは「スーパースター」。この二つしかない。でも、好きなことを徹底して追求していけば、ちゃんと道が開ける。失敗するのは徹底してないからなんだね。
山内:あの時代に女の子が夢をかなえたという意味で、ユーミンは先駆者であり開拓者ですね。ご本人は「道なき道」とも思わず、ただ好奇心の赴くままに行った先に、いつの間にか道が開けていたとおっしゃってましたけど。そうやって、いくつもの時代をつくってきた人。きっとこれからも、かっこいい姿を見せてくれると思います。
(構成/本誌・鮎川哲也)
※記事前編>>「追っかけだったユーミンをデビューへ導いた一本のカセットとは?」はコチラ
※週刊朝日 2022年12月2日号より抜粋