デルタ株の急速な拡大で全国では病床の逼迫が続いている。入院したとしても治療費は公費で負担される(c)朝日新聞社
デルタ株の急速な拡大で全国では病床の逼迫が続いている。入院したとしても治療費は公費で負担される(c)朝日新聞社
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「コロナ保険」に焦って加入する前に事実関係を冷静に再確認しよう(AERA 2021年9月6日号より)
「コロナ保険」に焦って加入する前に事実関係を冷静に再確認しよう(AERA 2021年9月6日号より)

 新型コロナウイルスが依然として猛威を振るう昨今。感染の急拡大に伴ってコロナの保障に特化した保険が大ヒットしているという。AERA 2021年9月6日号では、話題の「コロナ保険」についてファイナンシャルプランナーの菱田雅生氏に見解を聞いた。

【チェックリスト】保険に焦って加入する前に事実関係を再確認しよう

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 新型コロナウイルスの第5波が列島を襲い、新規感染者数が連日のように過去最多を更新している。緊急事態宣言の期間延長や対象地域も広がり、首都圏を中心に入院したくてもできない事態も起きている。

 そんななか、新型コロナ感染症を対象にした「コロナ保険」が売れているという。

■保険では異例のヒット

 その代表格が、ある中堅生保の「感染症プラス入院一時金保険」だ。新型コロナに感染し入院すると最高40万円の入院一時金が支払われるというもの。この会社によると、昨夏の発売開始からの11カ月間で、14万件超の契約を獲得した。今年7月1~15日の販売件数は、6月16~30日と比べて50%増に達したという。ほかに1カ月当たり数百円の保険料で、感染時に10万円の給付金が支払われる商品もある。

 ファイナンシャルプランナーの菱田雅生氏はこう説明する。

「10万円給付のタイプは少額短期保険と呼ばれるものです。通常の保険よりも保険金が少額で、保険期間が短いのが特徴です。通常の保険よりも規制が緩くて設定しやすいため、新型コロナの感染拡大を受けて、急きょ投入したのでしょう」

 デルタ株の台頭で、感染リスクが大幅に高まっている。それだけに、一見すると世の中のニーズに応えた保険商品のように見受けられる。だが、菱田氏は「少なくとも私自身や家族、友人、知人には加入を推奨しません」と断言。ここは冷静に事実関係を確認しておきたい。

 そもそも、新型コロナに感染して入院した場合、治療費は国が支払ってくれる。だから自己負担はゼロなのだ。感染を調べるPCR検査にしても、医師の判断に従って都道府県が指定する医療機関で実施した場合は、無料だ。

 また、すでに「入院給付金」や「死亡保険金」が支払われるタイプの保険に加入している人も少なくないはずだ。

「コロナであっても入院給付金や死亡保険金は出ます。ただし、災害割り増しの対象になるか、自宅療養でも給付金が出るかは、保険会社によって判断が異なるようです」(菱田氏)

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大西洋平

大西洋平

出版社勤務などを経て1995年に独立し、フリーのジャーナリストとして「AERA」「週刊ダイヤモンド」、「プレジデント」、などの一般雑誌で執筆中。識者・著名人や上場企業トップのインタビューも多数手掛け、金融・経済からエレクトロニクス、メカトロニクス、IT、エンタメ、再生可能エネルギー、さらには介護まで、幅広い領域で取材活動を行っている。

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