──総裁選には、女性で高市早苗前総務大臣と野田聖子自民党幹事長代行が意欲を示しています。
けれども、自民党が全力をあげて彼女たちを推すということはありません。結局、派閥のおじさんらが「女性を出さないと、女性を大事にしている党だということを示せない」みたいな、下心見え見えの構図じゃないですか。私はいつも「ショートケーキのイチゴになったらあかん」と思っているんです。イチゴとは「女性」のことですよ。肝心のスポンジの部分は、権力と談合まみれのおっさんが牛耳っている。ただの見栄えでフレッシュなイチゴ(女性)をお飾りにする。本来、スポンジの部分はいろんな考えやバックグラウンド、年齢も性別も多様でないといけないと思うのです。その上で「今回は誰にイチゴになってもらおうか」という民主的な議論があって、イチゴを誰にするか決めればいい。イチゴじゃなくても、違うフルーツでもいいじゃないですか。「お飾り」と「実力」を混同したらダメです。
──世界のコロナ対策を見ていても「マッチョな発想のオレについてこい」タイプのおじさんがリーダーの国はうまくいってないように思えます。
はい。その象徴が米国のトランプ前大統領やブラジルのボルソナーロ大統領。我が国の安倍前首相もそうですよね。中国の習近平国家主席は、コロナの封じ込めに成功したと言われていますが、国家の体制があまりにも違います。英国のジョンソン首相は途中までそうだったんだけど、コロナに罹患すると急におっさん化が止まった。
その意味ではドイツのメルケル首相、ニュージーランドのアーダーン首相、台湾の蔡英文総統など、女性のリーダーは国民との共感を重んじていますね。社会的弱者を最優先に政策を断行し、自分の言葉で国民に呼びかけています。人権意識や社会の平等感に敏感な女性リーダーの国は結局、コロナ対策もうまくいっています。結局、20世紀型のおじさん政治では、感染症や気候変動の時代を迎えている今、国家の舵取りはできないんじゃないかと思います。
(構成/編集部・中原一歩)
※AERA 2021年9月13日号より抜粋