大人気の医療ドラマだが、その裏では現役医師による医療監修が欠かせない。2021年夏のドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の監修者のひとりである東京都済生会中央病院・救命救急センター長の関根和彦医師にインタビュー。週刊朝日ムック「医学部に入る2022」(9月24日発売予定)では、ドラマを通じて伝えたかったことを聞いた。
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最新医療機器と手術室を搭載した「ERカー」で現場に直行し、命の瀬戸際にある患者を救う救命救急チームを描く医療ドラマ「TOKYO MER~走る緊急救命室~」(TBS系)。
ラストシーンでは毎回「死者はゼロです!」のきめゼリフに喝采が沸く。
監修者の一人である関根和彦医師は、東京都済生会中央病院で救命救急センター長を務める現役の救急医だ。ドラマの監修の依頼がきたとき、企画書を見て関根医師は「私の夢そのものだ」と驚いたという。
■現場では応急処置しかできないことが悔しい
なぜこのドラマが「夢」なのかというと、事故現場で手術ができるERカーなど存在しないからだ。
「医師を乗せて現場に向かうドクターカーやドクターヘリは一般的になりつつありますが、車やヘリの中でできるのは応急処置くらい。ドラマに出てくる移動可能な手術室は現実にはありませんし、残念ながら実現性も高くないでしょうね」
そう話す関根医師だが、救急医になったころから「TOKYO MER」に描かれるような未来を夢見ていたそうだ。
「現場でまだ息があった患者さんが、搬送中に亡くなるケースは少なくありません。病院で待っているのではなく、現場で根本的な治療ができたら命が救えるのに……とよく考えていました。ドラマの中で夢がかなったようで本当にうれしかった。毎週ワクワクしながらテレビの前に座っているんです(笑)」
■フィクションだからこそ“真実”を演じてもらう
医療監修者としての関根医師の役割はいくつもある。その一つは、脚本をつくる段階で医療面での整合性をとることである。