爆発事故が起きた現場なら、緊急手術が必要になる患者はどんな状態か、どんな処置が可能かなど、関根医師は豊富な経験から提案する。
「ドラマは当然フィクションですが、医療的な設定にうそがあるとドラマそのものがうそくさくなってしまう。『うそだけれど、本当にあり得る状況』を考えて話し合います」
治療の場面では、医療機器や薬剤の名前が頻繁に飛び交う。これも脚本段階で関根医師が指示しているという。
「医師役の俳優さんは、何種類もの薬剤の名前を覚えるのが大変だったようで『呪文みたい』という声も聞きました(笑)」
手術シーンでは、医師の手元が映る場面も多い。リハーサルで俳優たちに手技を見せ、やり方を教えるのも関根医師の仕事だ。
「鈴木亮平さん演じる主人公はスーパードクターなので、鈴木さんには通常の倍のスピードで手技をお見せしました。これをまねるのはかなり難しいのですが、鈴木さんは1、2回見ただけで完コピできてしまうんです。数多くの研修医を教えてきた私の目からみても、鈴木さんは相当レベルが高い。思わずスカウトしたくなりました(笑)」
手技だけでなく、患者への言葉のかけ方、声のトーンなどもアドバイスする。
「緊迫感のあるシーンでも、患者さんには優しく、ゆっくり話していただき、『大丈夫だよ』と笑顔を向ける。たとえ気休めでも、それが大事だと俳優さんには伝えました」
ドラマの中には感動的なシーンも多い。特に心を打つのは救命救急チームの人間ドラマだ。主人公の無茶な行動を、仲間の医師、看護師、救急隊員が一丸となって支えていく。
「ドラマに限らず、救急の現場は常にチーム戦です」と関根医師は言う。救命救急センターには、どんな患者が運ばれてくるかわからない。病気もケガも中毒症もある。家庭の問題で病院に行けず重症化する人もいる。365日、24時間態勢でそれを受け止める。
「スーパードクターが1人や2人いるだけでは、とても解決できません」