とはいえ、総裁選の候補者として出る限りは、国政に対する自身の考えや具体的な政策を国民に説明して当たり前。高市氏が出馬会見で打ち出したのが、経済政策「サナエノミクス」で、「3本の矢」として「金融緩和」「緊急時の機動的な財政出動」「大胆な危機管理投資と成長投資」を掲げた。

「サナエノミクス、ですか? ネーミングからしても、有権者をバカにしているのかなぁと感じました」(中島さん)

 高市氏の政策はどこか既視感があるが、サナエノミクスは、安倍晋三前首相が掲げた「アベノミクス」路線を引き継ぐものだからだ。これに対して、望月記者も「安倍政権の上書き」としてこう言う。

「せっかく女性が主導的立場になろうと出てきたのに、女性ならではの視点で練り上げた政策は一切出てこなかった。サナエノミクスは基本、新しいものはなく、安倍さんの政策を踏襲、一部を更新し、ネット民に受けるよう過激化させただけ。」

 高市氏の政策から読み取れるものは結局、「安倍さんへの忖度」(望月記者)だったという。

「安倍崇拝ともいえる状況が、綿々と続いている。高市氏だけではありません。河野氏は、本心としては脱原発だと思いますが、出馬前に安倍氏に会って再稼働しますと約束しました。男も女も安倍氏への過剰な配慮です。その裏には何があるのでしょうか。安倍氏が実質取り仕切る、最大派閥の細田派の票の取り込みは、勝敗をわける鍵なのでしょうが、女性なら空気が変わるかといえば、これではクリーンな政治は望めません」(望月記者)

 一方の野田氏は、まだ正式に出馬表明はしていない。以前から政策の基本方針としては、「自分のことだけでなく、女性や高齢者、障害者をはじめ全ての国民、全ての地方が活躍できる制度を構築する『やさしさ』をもつ」ことを掲げている。障害のある子どもを育てる母親でもあり、野田氏の政治姿勢は自民党内ではリベラル寄りだ。

 望月記者は野田氏をそれなりに評価しているという。

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