鍜治さんからの承諾を得たグールドさんは、
「まずニューヨーク・タイムズに持っていったんですが、断られたそうです。そこでロンドンのタイムズに売り込みに行きました。そこでも門前払いされかけたんですが、なんとか編集者に拾ってもらったそうです」
2004年11月からタイムズで連載が始まるや、SUDOKUは世界で認知されるように。権威あるオックスフォード英語辞典も、06年版からSUDOKUを掲載した。
さて数独のファンは年々増えているが、安福さんはそれに勝るとも劣らない面白いパズルがあるという。「スリザーリンク」と「四角に切れ」だ。
「スリザーリンクは、もとはうちの読者が考え、編集部で改良したパズルです。うちの読者の中ではいま、数独よりも人気があります。四角に切れは、学生時代に私が考えたパズル。小学生くらいの子が数字を覚えるのにもいいですよ」
鍜治さんは晩年、「『数独の父』で終わりたくない。もっとパズルの楽しさを広めたい」と語っていたという。日本発祥のパズルが世界を席巻していく日を想像しつつ問題を解けば、秋の夜長が面白くなること間違いなし。(本誌・菊地武顕)
※週刊朝日 2021年9月24日号