西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。老化に身を任せながら、よりよく老いる「ナイス・エイジング」を説く。今回のテーマは「『ガンを治す大事典』」。
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【代替療法】ポイント
(1)日本中のがんの代替療法を取材して一冊にまとめた
(2)あやしいものもあるが奇跡的な効果が出るケースも
(3)米国では患者さんが受け入れれば全く反対しない
これまでに280冊を超える本を出版してきました。多いときは毎月1冊のペースで出していたこともあります。その一冊、一冊が私にとっては忘れ難いものなのですが、なかでも印象に残っているのが1991年に出した『ガンを治す大事典』(二見書房)です。
日本中のがんの代替療法を集めて、一冊の本にまとめたいという企画が私に持ち込まれ、やろうということになったのですが、大変でしたね。
ちょうどその頃、患者さんから代替療法の相談を受けることが多くなっていました。自分で見つけた代替療法を「やってもいいでしょうか」と聞いてくるのです。そういわれても、時間をかけて吟味する余裕はないので、価格が法外でなく、危険がないものについては「やってみてください」という返事になります。一度、様々な代替療法をしっかり調べたいという気持ちがありました。
旧知のライターである小原田泰久さんを中心に4人のスタッフがチームを組み、取材に当たることになりました。小原田さんが同書に取材方法についての一文を寄せていますが、少なくとも次の9項目を確認することを取り決めました。(1)療法の概略(2)作用機序(3)適応と限界(4)治療成績と患者の体験談(5)患者の治療への意欲と効果の関係(6)民間療法や西洋医学に対する考え方(7)診断方法(8)患者の追跡調査(9)費用
そして、各療法について少なくとも一人は患者さんに直接、会うことにしました。