
「コロナが収束したとき、いち早く活躍をと考えると、国際系学部の人気が下がり目の今が逆に狙い目。早めに動く人が、世界をリードする人になる」(同)
大学通信・常務取締役の安田賢治さんも言う。
「海外の大学へ直接進む人は、むしろ減っていません。私立広尾学園高校から21年度に海外大に合格した生徒は、前年比約3倍ののべ220人を超えました」
その理由をこう考える。
「今の高校生はグローバル志向です。コロナ次第ですが、22年度の入学生なら、就活前の大学2年の頃までに留学できるようになるかもしれない。志願者が戻ってくる可能性は高いと思います」(安田さん)
観光系学部も厳しい。河合塾によると、観光の名のつく私大や、学科の21年度の志願者数は、前年比67%に。歴史ある立教大学観光学部でも一般入試の方式が変わったので単純に比較できないものの、20年度志願者の多かった個別学部日程が倍率6.1倍だったのに対し、21年度は4.4倍に低下。
他方、新設も続く。22年4月、國學院大學に観光まちづくり学部が開かれる。金沢大学でも文理融合の学びを掲げる融合学域に新たに観光デザイン学類が誕生する。なぜ今なのか。金沢大の山崎光悦学長はこう話す。
「構想の始まりは2年前です。今は観光需要が低迷していますが、金沢でも新幹線開業効果により観光客数が劇的に伸びていました。コロナ禍を契機に、観光ビジネスも変わりつつあります。地域の魅力を引き出す観光業が産業振興と地方創生を推進し、我が国の大きな稼ぎ頭になる可能性を秘めています」
アフターコロナに活躍できる人材を育てるという。
「これからは従来の観光学の知識だけでは立ち行かない。データサイエンスで人の動き、消費行動を分析して、エビデンスに基づいて新たな観光価値をデザインする人材を育成します」
(編集部・井上有紀子)
※AERA 2021年9月27日号より抜粋