小川:今日まで知らなかったんですけど、和田さん、執筆中に体調を崩されたんですよね。
和田:この本を世に出すまで死ねないと必死で頑張りました。
小川:映画を作られた大島新監督も同じことをおっしゃっていました。さらに言えば、僕も。政治家を志したとき、「やってみないことには死んでも死に切れん」と妻を説得したんです。
和田さんと大島監督の言葉を聞いて、そこまでの気持ちで制作しているのか、と。病んだ日本の社会を前に進めるために、自分ができることは何か、考え始めた人が増え、歯車がようやく動きだしてきたとも感じています。
和田:この本も出版前から反響がすごくて「めっちゃ希望です」「私の話のよう」という声もありました。うれしかったです。
小川:読者のなかから第二、第三の和田靜香が出てきてほしい。僕はそれをすごく願っています。
(ライター・角田奈穂子)
小川淳也(おがわ・じゅんや)/1971年、香川県生まれ。94年、東京大学法学部卒業。自治省(現総務省)入省。2003年、民主党から衆議院議員選に初挑戦するも惜敗。05年、初当選し、現在5期。レンチンした「おあげさん」が好き。
和田靜香(わだ・しずか)/1965年、千葉県生まれ。主に音楽と相撲をテーマに取材・執筆。『世界のおすもうさん』『コロナ禍の東京を駆ける 緊急事態宣言下の困窮者支援日記』(ともに共著、岩波書店)など。新刊はすでに4刷を記録。
※週刊朝日 2021年10月1日号