和田靜香さん(左)、小川淳也議員 (撮影/写真部・高野楓菜)
和田靜香さん(左)、小川淳也議員 (撮影/写真部・高野楓菜)

和田:苦労する未来がわかっていながら、小川さんが繰り返す「諦めない」の言葉も胸に響きました。でも、本の1回目の取材で伺ったときの私は、どこから手をつけていいのか、全然わからない。ただ座って話を聞いているだけでした。

小川:本のアイデアもプランもまったくなく、僕も「これは困ったぞ」と頭を抱えました(笑)。

和田:小川さん、私の「わかりません」の連発に驚いたあと、下を向いちゃいましたよね。それくらい私を追い詰めていた生活の不安と政治は遠かったんです。

小川:でも、取材の3回目あたりから、ものすごい馬力で勉強してきて、鋭い質問で食らいつくようになって。

和田:私も知識が増えて、具体的な質問が作れるようになってきたんです。夜中まで資料や参考書を読み込み、知り合いに相談しながら、1カ月かけて、なんとか10問作る状態でしたけど。

 それを元に安倍政権の「遺産」について意見をぶつけ合ったり、税や財政問題に「そんなのわからん」と私が突っぱねたり。小川さんの話し方も、先生と生徒の関係から変わっていきましたよね。

小川:知識の厚みの差はあるけれど、立場は対等。主権者である和田さんと国民の代理人である僕ががっぷり四つに組み、模範解答はない政策の正解を探し求めてのデスマッチになりました。

和田:すごいうれしそうに「デスマッチだ」って、おっしゃってましたね。時々、小川さんがひるむこともあって、だんだん同じ土俵にいる人同士の会話になっていきました。

小川:和田さんとの対話は、僕が国民とやりたい政治の理想型です。政治家が一方的に主導権を握るのではなく、国民と政治家が対等に話し合いを重ね、最善策を模索することが民主主義の根幹です。

和田:受動的だった私も能動的に考えるようになったことで、「文句ばかり言っていたけれど、そうじゃないんだ。主権者は自分。私たちがこの国を作らなきゃいけない」と使命感が湧いてきました。それも肌感覚として、主権が自分にあることを理解できたんです。

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