小川:この本は和田さんの成長物語ですよね。東京の後援会長にそう話したら、「小川さんも成長させてもらってますよ」と言われて、確かにそうだとハッとしました。
僕が日本の問題に気づき、政策を提言できるまで25年かかりました。それを和田さんは、8カ月で追体験した。読者がもっと短時間で追体験することを期待しています。
私たちの目の前にある不安の山は、みんなで登り切らないと、絶対に次の時代に行けません。和田さんの本を読んで、知識の装備をする人が増えれば、より高い山も登れる可能性が出てきます。
和田:労働問題を取り上げたとき、小川さんが泣きながら語ってくれたことも忘れられません。私は政治家から政策だけでなく、女性や非正規など、困難を抱えて働く人への共感やいたわりの言葉も聞きたいと思っていました。コロナ禍で仕事も家も失った人が大勢いるのに、立場の弱い人をいたわるような、心に響く言葉を聞いたことがないと感じていたからです。
思い切って尋ねたら、小川さんは「僕が守りたいのは普通の人生、普通の暮らし。もっとも尊くいとしい暮らしこそが大切にされる世の中であるべき」と涙ながらに話してくれました。
政治家には私たちに寄り添った言葉を語ってほしいんです。そうしたら、政治が身近になり、関心を持つ人が増えるはずです。私は小川さんから、あの言葉が聞けただけで、対話を続けた意味があったと思いました。
小川:この本は対話のプロセスを積み上げた記録であって、ゴールではない。もっと先に決断し、実行する段階が控えています。どの段階でも大切なのは、一言でまとめにくい対話でも根気よく、意味のある言葉を積み重ねることです。わかりやすい結論だけが降ってくるのは、不健全です。
和田:キャッチーでわかりやすくても、中身のない言葉は心に響きません。小川さんの話は長いけど、質量があるから、どんどん積み重なっていくよう。じっくりかみしめると、自分の理解が深まっていくことに気づきます。