ソニー生命保険が毎年実施している、全国のシニア(50~79歳)男女への生活意識調査で、「今年、心に響いた歌」の結果が、「意外」でおもしろい。
この記事の写真をすべて見るインターネットを通じて1千人分の有効サンプルを集計したもの。
いくつかの質問があり、その中の「今年、心に響いた歌」の1位が、嵐の「カイト」だった。そして、2位はなんとAdoの「うっせぇわ」、3位に「君が代」と中島みゆき「糸」、そして5位が優里の「ドライフラワー」というバラエティーに富んだ結果となった。
男女別でも、男性5位にYOASOBI「夜に駆ける」、女性5位にKing Gnu「白日」がランクイン。昨年もあいみょんや米津玄師の曲などが上位に。
歌に年齢は関係ないとはいえ、若すぎないだろうか? 芸能評論家の三杉武さんはこう分析する。
「まず、ネットを通してのアンケートということで、ある程度能動的な方々であること。そういった人は、シニア世代ですが『こういう曲も知ってます』と答えたくなる面はありそうです」
その上でこう話す。
「“心に響いた”ということで、やっぱりオリンピックの影響は大きそうですね。NHKテーマ曲だった『カイト』、男性5位に、ゆずの『栄光の架橋』が入っています。3位の『君が代』も、金メダル獲得とMISIAさんが歌ったことによるものですよね」
最近のJ-POPのメロディーやアレンジの傾向についても、「あいみょんさんや米津玄師さんなどの曲は、かつてのポップスやフォークなどにインスパイアされた部分もあると言われています。シニア世代にも『わかる』曲なのかもしれません」。
音楽評論家の原田和典さんは、茶の間での「一家だんらん」が戻ってきているのでは、との見方を示す。
「子どもや孫と一緒に、『この曲流行ってんだよ』『いい曲だね』『かっこいいね』などと、世代を超えた共通の話題としてシニア世代にも浸透していったように感じます。さらに、多くの人はまず歌詞に共感する傾向がありますので、『うっせぇわ』あたりも、歌詞が“響いた”のではないでしょうか」
♪うっせぇわ あなたが思うより健康です
……若者よりシニアの方がより共感できるのかもしれない。(本誌・太田サトル)
※週刊朝日 2021年10月1日号