この2人に次いで長いのが10年目のチェン(阪神)だが、今季は故障に苦しんだものの来季も契約が残っているため残留が濃厚だ。それに続くのがデスパイネ(ソフトバンク)だが、ここ2年間は故障も多く、大きく成績を落としている。キューバ代表として東京オリンピックの予選を戦うために帰国した際には、今季限りでの退団を示唆するコメントも発している。シーズン終盤に大きく調子を上げてきてはいるものの、今年が日本での最後のプレーとなる可能性は高そうだ。

 国内の他球団への移籍も含めて去就が注目されているのが今年で6年目のビシエド(中日)だ。2016年の来日以来チームの不動の主砲として活躍し、2018年には首位打者と最多安打のタイトルも獲得している。今シーズンも歴史的な貧打に苦しむチームの中で奮闘し、ホームランと打点はチームで断トツの数字を残している。本人はチーム、名古屋への愛着が強く、残留が基本線と見られているが、4億円近い高額な年俸と過去2年間は打率3割を切るなど成績に頭打ち感があるため、交渉が難航することも予想される。もし退団となれば来季で33歳とまだ若いだけに、巨人やソフトバンクなど高額な年俸を提示できる球団への移籍も十分に考えられるだろう。

 メジャーも含めて移籍の可能性があるのがモイネロ(ソフトバンク)とR.マルティネス(中日)の2人だ。ともに若くして来日し、日本でステップアップしてリーグを代表するリリーフとなった投手である。今年は故障もあって少し成績を落としたものの、それでもボールの力は圧倒的なものがある。モイネロは今年で26歳、R.マルティネスは25歳とまだまだ若く、当然メジャーの球団も注目している。以前はキューバの選手がメジャーでプレーするには亡命する必要があったが、現在は亡命せずに契約することも可能とする動きもある。本人の意向と条件次第だが、来季はメジャーのマウンドに立っている可能性もありそうだ。

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コロナ禍で目立ったシーズン途中の帰国