「人の体にいる寄生虫は何種類いるでしょうか」
「大腸の大部分を占める結腸は◯◯◯の◯◯を吸収する ◯◯◯には何が入るでしょう」
生徒たちはそれぞれ「サバイバル」の、指定されたページの情報をもとにクイズをつくり、1人1台配られているiPadを使って工夫をこらしたスライドを作成。「寄生虫についてよく知ることができました」「問題に工夫があると感じました」といったフィードバックを作成する生徒も。授業の最後に柳沢先生が、「第1セットと比べて工夫した点、進歩した点を考えて、振り返りシートに書いてくださいね」と指示を出した。
「みんな2セット目ですごく進歩しました。次はもっと成長できます」
生徒の1人は「人前で発表する練習にもなるし、将来のためになる授業だと思います」。別の生徒は「サバイバル」を熟読して「マンガを読んでいくと知識が脳に入っていって、不思議ともっと知りたくなります」と語った。
柳沢先生は「アクティブ・ラーニング」の日本語訳として「脳動学習」という言葉を造った。生徒が一方的にものを教わるのではなく、自分から脳を動かし、考え、発信する。それがこれからの時代特に必要になると柳沢先生は訴える。柳沢先生が「脳動学習」の授業でほとんどしゃべらないのも、そのためだ。
「自由に放し飼いにすることが大事です」
iPadを自由に使い、クイズのスライドにイラストをつかってみるなど、できるだけ生徒が自由に動いてもらいたいと柳沢先生は言う。中学、高校生に対して小学生向け「サバイバル」をテキストに選んだ理由も、脳を積極的に動かしてもらうためだ。
「こういう授業でかしこまって、構えてしまってはろくな仕事になりません。新しいことをやるときは、スタートのハードルは低くしたほうがいいです。『サバイバル』は小学生向けで話はわかりやすく、でも説明は細かくてきちんとしているので、テキストに選びました」
問題を出す側と答える側のペアは、違うクラス同士など知り合いではない組み合わせにしている。知らない相手とのコミュニケーションをどう深めるかについて考えてもらうことも、脳動学習の狙いだ。