北鎌倉女子学園中学校・高等学校(神奈川県鎌倉市)で週1回、中学1年生と高校1年生を対象に行われている「脳動(のうどう)学習」という授業。使われているテキストは、累計1100万部を突破した小学生に人気の学習マンガ「科学漫画サバイバル」シリーズだ。授業を手がけるのは、9年間にわたり開成中・高等学校(東京都)の校長をつとめた柳沢幸雄さん。昨年から北鎌倉女子学園の学園長に就任した柳沢先生に、小学生向け学習マンガを使って中高生向けに授業を行うねらいを聞いた。
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今回見学したのは中学1年先進コースの「脳動学習」。週1回、午後2コマ連続の授業だ。教室に集まった生徒たちが持っているのは普通の教科書ではなく、小学生向け学習マンガ『人体のサバイバル』。主人公のジオが超小型化する人体探査機「ヒポクラテス号」に乗り、友人であるピピの体内を冒険するストーリーで、昨年映画化もされた。高校1年生は『新型ウイルスのサバイバル』をテキストに使っている。
柳沢先生は約30人の生徒を前にこの日、「長期記憶と短期記憶」といった話を10分程度したあと、生徒たちをペアにして授業をスタートした。といっても、柳沢先生が何か人体について生徒に教えるわけではない。生徒たちの間を見て回り、ときおりアドバイスしたり質問に答えたりしているだけだ。
生徒は事前にテキストの「サバイバル」を読み、そのマンガやコラムのなかから感じたことをもとに1つクイズを作ってペアになった生徒に出題する。その生徒は解答するだけではなくそのクイズの良しあしについて評価をして、相手にフィードバックする。出題者と解答・評価者を入れ替えて同じやりとりをし、最後に2人のやりとりをスライドにまとめて、全員の前で発表し、クラス全員からの評価を受ける。3週間かけて行うこのやりとり全体を1セットとし、授業では最終的に、4セットのやりとりを行う。取材した日の授業は2セット目だった。