だが刑法の名誉毀損罪や侮辱罪は「親告罪」のため、被害者の告訴が必要となる。悔しいと思っても、泣き寝入りが続いているのが現状だ。

 木村花さんの悲劇や、遺族の悲しみに向き合ってきた清水弁護士は、「当時、花さんをバッシングした人たちも、悪いことをしたという認識がない人が多かった。同じように、自覚がないうちに違法と思われるコメントをしてしまっているケースは多いと思います」とし、こう続ける。

「花さんが亡くなって以降も、ネットには批判や中傷的なコメントがあふれ続けています。仮に、書き込みの内容自体に法的問題がなかったとしても、バッシングされた側はとても傷つきます。正しい意見なんだ、意見は自由なんだと、大勢で個人を追い込む状況が許され続けて良いのかと感じています」

 コメントは一度書き込めば、「まずい」と思ってすぐに消したとしても、罪に問われるという。軽い気持ちで書いた一言が、実は問題かもしれないという事実は、知っておく必要がある。(AERA dot.編集部・國府田英之)

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