北海道電力泊原発。2018年9月撮影(c)朝日新聞社
北海道電力泊原発。2018年9月撮影(c)朝日新聞社

 これまでは、(原発反対派向けには)「新増設、リプレースしない」とする一方で、(推進派向けに)原発による電力は「2030年に20~22%」。この2つのバランスの中で、問題を先延ばししていく、という「先延ばし路線」が最近5~6年は続いてきました。

「新増設・リプレースしない」方針は何を意味するのか。原発はあと50年も経てば、なくなるということ。「野垂れ死ぬ」将来が見えたわけです。40年の寿命を延長して60年間稼働しても、2050年には、現在の33基のうち18基しか残らない。60年に5基しか残らず、69年12月には最後の北海道電力・泊3号機が停止する。

 さらに、政府が昨年12月に発表した、2050年の電源構成の「参考値」が重要な意味を持ちます。「再生エネ50-60%、水素とアンモニア10%、CO2を回収・貯留・再利用するCCUS付きの火力と原発30-40%」とした。子供でも分かる理屈ですが、ふつうは「再生エネ、火力、原子力」に分けます。「火力の一部と原子力」をなぜくっつけたのか?「原発10%以下」の見通しを隠すためだった、と私はにらんでいます。

――「原発10%以下」が、どうして可能になるのでしょう?

 アンモニアと水素を使う「カーボンフリー火力」が登場したからです。JERA(東京電力と中部電力が出資した日本最大の火力発電会社)が昨年10月13日に発表しました。菅義偉首相は、直後の26日の所信表明演説で「2050年カーボンニュートラル」を宣言しましたが、この宣言の背景には、「CO2を出さない火力発電」という新しい仕組みが示された事実があったのです。これは「原発はもう引退せよ」とのメッセージであり、日本の電力業界の「ゲームチェンジャー」にもなるでしょう。原子力は「副次電源」になったということです。

■核燃サイクル政策は破綻か

――しかし、「核のゴミ、使用済み核燃料」の問題は残りますね。ぼくたちは、今度の河野氏の原発政策を通じて、「脱原発」や「原発ゼロ」など掛け声だけでは原発はなくならない、ということに気づかされた。これから、長期にわたる「原発のたたみ方」を具体的に考えなくては、エネルギー問題の解決にはつながらない、と。

 そう、「核燃料サイクル」をどうするか、は「原発のたたみ方」の問題につながります。河野さんとは、「原発ゼロの会」を作られたときに初めてお会いしました。「反原発」じゃない「反サイクル」の人だなと思いました。河野政権になれば、核燃サイクル政策が、大きく変わる可能性があります。

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核燃サイクル事業は破綻しているのか?