また、河村氏の実弟、萩市の田中市長は萩市商工会議所のトップが林氏の後援会長を務めているとして、「是正を求めたい」と勧告。
二階派の領袖、二階幹事長も昨年、山口県に派閥議員を連れて乗り込み、「売られた喧嘩は買う」と対決姿勢をアピールした。自民党幹部はこう嘆く。
「二階氏が幹事長続投なら河村氏という可能性もある。だが、林氏は岸田派で県連でも決定している。河村氏は追い込まれた。今回勝てば、衆院議長の可能性もある河村氏は『黙って林氏に譲るわけには』と言っていた。一方、林氏は『もう今回しかチャンスはない。不退転です』と言っていた。林氏にとっては岸田氏が首相になり、二階氏が幹事長を退任と風が吹いているね。しかし、お互い引くことはなさそうで最後まで揉めるでしょう」
河村氏も自身のSNSで「いよいよ決戦に向けて前進あるのみ」と記している。ちなみに河村氏の前回の衆院選の得票数は103173、林氏の前回の参院選での得票数は374686。河村、林両氏や安倍晋三元首相と親しい山口県防府市の松浦正人元市長はこう語る。
「地元では河村氏の衆院議長待望論もある。安倍元首相に続き、地元ではおめでたい話になるかもしれない。私は山口県で何回も地方選挙も国政選挙を仕切ってきた。確かに用意周到な林氏がリードしているようだが、私が歩いた感触ではあまり差はないと思うよ」
◆静岡5区の細野豪志元環境相は?
もう一つ、二階派と岸田派でガチンコなのが、静岡5区だ。
自民党の現職、吉川赳衆院議員と二階派特別会員で無所属の現職、細野豪志元環境相が対決する。
前回の17年の衆院選では、希望の党から出馬した細野氏が137523票を獲得、92467票の吉川氏を破った。その後、細野氏が無所属となり、二階派に所属し、自民党入りを目指した。
一方で敗れた吉川氏は19年に自民党議員の不祥事で繰り上げ当選となり、バッジをつけることとなった。
これまで静岡5区では細野氏が吉川氏に3連勝しているが、いずれも野党時代だ。