10月19日公示、31日に投開票と決まった衆院選挙―-。5年あまり幹事長を務めた二階俊博氏の退任で自民党内が混乱している。
【図版】二階派候補と公認争いとなっている山口3区、静岡5区、群馬1区のシミュレーションはこちら
党内の競合区に多くの候補者を抱える二階派は、2017年の衆院選でも岸田文雄首相が率いる岸田派などと激しく対立した経緯があり、その取り扱いが焦点となっている。
「選挙日程が想定より2週間ほど早まり、サプライズ感がすごくありますね」
自民党の二階派の衆院議員は選挙準備に追われながらこう話す。
特に懸案になっているのは、総裁派閥である岸田派と二階派が競合する山口3区、静岡5区だ。
山口3区は二階派ナンバー2で11回目の当選を目指す河村建夫元官房長官が現職だ。そこへ岸田派ナンバー2で農水相、防衛相などを歴任した林芳正氏が参院山口県選挙区から鞍替えし、激突する。
林氏は山口3区の県議らをほぼまとめ上げ、選挙体制を築く。林氏支援の地元県議によると、「林氏が優勢との声が多い」と話す。林氏が出馬の意向を固めてから、山口3区では美祢市や宇部市で昨年、市長選があった。宇部市は林氏の元秘書が当選、美祢市も林氏に近い人物が勝った。
だが、河村氏も黙っていない。今年3月の萩市長選では、河村氏の実弟、田中文夫氏が当選。前哨戦は2勝1敗で林氏がリードしている。
一番の焦点は、自民党の公認問題だ。山口県連は林氏を党本部に公認申請することを決めた。自民党の原則は現職優先だが、それをひっくり返した形だ。
「次期衆議院選挙について山口県第3選挙区は林芳正氏を公認推薦候補として、本日の自由民主党山口県連選挙対策委員会にて全員一致で決定し、自民党本部に公認推薦願を提出致しました」
県連の塩満久雄会長代行は自身のSNSにこう綴っている。
◆大物同士が激突する山口3区
だが、河村氏の陣営は「現職優先だ」として反発。河村氏陣営の地方議員はこう語る。
「現職の河村氏がいながら、なぜ、公認が林氏になるのか。こんなおかしな決定は認められない」