MSCIの大型株、中型株主体の運用と異なり、FTSEには小型株も幅広く組み入れられています。銘柄数も5704銘柄と、MSCIの1559銘柄に比べて約3.6倍以上です」
同じ先進国株式投信でも、「SBI・先進国株式」のFTSE指数には日本株が8%以上も入っている。そして米国株の比率が58%台と、MSCIコクサイの72%台に比べて低い。
■1万円×15年のつみたて結果で大差
MSCIコクサイを指数として採用している「eMAXIS Slim 先進国株式インデックス」とFTSEを指数とする「SBI・先進国株式インデックス・ファンド」を、過去のデータからつみたて成績を比較するとーー。
「過去のデータ試算ではありますが、MSCIコクサイに連動した『eMAXIS Slim』の運用成績のほうが高いですね。15年間では20%以上の差がついています」
毎月1万円を15年間、つみたて続けると、MSCIコクサイのeMAXIS Slim先進国株式は510万5966円。FTSEのSBI・先進国株式インデックス・ファンドは472万1060円になっていた。
自分で入金したお金は1万円×12カ月×15年間で180万円なので、いずれも驚異的な増え方だが、細かく比較すればMSCIコクサイのほうが、より伸びたということだ。
MSCIコクサイのほうが成績がよい理由は、15年間絶好調だった米国株の比率が10%以上高いせいか、日本株が入っていないせいか……。
なお、先進国株式投信の中で2030年まで信託報酬が無料という点を売りにした「野村スリーゼロ先進国株式投信」も話題だ。2031年からは0.11%の信託報酬がかかるが、1年リターンも18本中トップの46%である。
4~5年前まで海外株式の投信といえばMSCI連動の先進国株式投信がド定番だった。米国株式や全世界株式の投信が発売されたのはここ数年で、先進国株式投信は「先輩」。運用実績が長い点も評価できる。
なお、アエラ増刊「AERA Money 2021秋号」では、つみたてNISAで買える「先進国株式」の投信全18本を、規模/コスト/リターン/運用効率/リスクの5項目で忖度なしに100点満点で独自採点。そのランキング結果を公表している。
* * *
濡木寛子(ぬれき・ひろこ)/SMBC日興証券 アセットマネジメント・保険マーケティング部 課長。資産運用に関するマーケティング業務を担当。投資信託の仕組みや運用手法にも詳しい
(編集・文/綾小路麗香、伊藤 忍)
※『AERA Money 2021秋号』から抜粋