また、JR東日本は、事件の被害者らに加害者の出所や仮出所の情報を知らせる「被害者等通知制度」に基づき、検察庁から情報を提供される立場だったことも報じられた。前出の清水准教授は、「こうした情報が民間に渡ること自体にも問題がある」と指摘する。 

「『被害者等通知制度』は、刑事事件の被害者やそれに準ずる者などに情報を通知することで、刑事司法の円滑な運営に資することを目的としています。出所したかどうかなどの状況を被害者が知らないということがないようにするための制度であって、出所者等の犯罪の予防のために設けられたわけではないのです。出所時期などは厳密に保護されたセンシティブな情報で、当人の同意なく、防犯目的で個人情報を渡すことは、制度の濫用に当たる可能性があると思います」

 四方教授によると、日本では顔認証機能付きカメラは「それほど広がっていない」という。

「防犯カメラは万引き防止として民間企業が主導して取り入れてきましたが、顔認識カメラはまだそれほど普及していません。東京五輪をきっかけとしたテロ対策のためにJR東日本が先陣を切って導入したのだと思います」

 テクノロジーによって個人情報の収集がしやすくなった時代。どこまでを安全のために許容し、どこまで制限したらよいのか。透明性と十分な議論が求められる。(AERA dot.編集部・岩下明日香)

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