林:「グッディ!」をやってるあいだ、役者のお仕事はちょっとセーブされてたんですか。

高橋:レギュラーですから、ほかの仕事をする時間はそれほど多くはありませんでした。でも、なるべく舞台を年に1本は入れさせていただいてましたね。

林:私、「女の一生」を拝見しましたよ。大竹しのぶさん主演の。

高橋:あれは去年の11月でしたから、稽古が始まったのは「グッディ!」のあとですね。

林:「早く、早く」って感じで皆さん待ってたんですね、高橋さんが舞台にたくさん出られるようになるのを。

高橋:ハハハハ、そんなことはないと思いますよ。

林:大竹さんとはもちろん初めてではないですよね。

高橋:大竹さんとは何回かご一緒させていただいてますけど、あれだけびっちり一緒、というのは初めてでした。しのぶさん、風間(杜夫)さん、段田(安則)さんなどのメンバーの中で、僕がほぼいちばん若かったので、先輩たちに当たって砕けろ、みたいな感じでしたね。

林:杉村春子さんの代表作で、名作と言われるものをおやりになるんだから、そりゃ大変ですよね。

高橋:たしか大竹さんは、杉村春子さんが演じられた役は3作目だったと思うんですけど、役にかける気合がすごかったので、こっちも何とかちゃんとやろうと思って。なかなかハードな舞台でした。

林:「キャスターよりやっぱり舞台が楽しいな」って思いました?

高橋:「グッディ!」、楽しかったですよ。でも、それぞれのおもしろさ、楽しさは全く違います。昔、俳優の仕事は、映画やテレビドラマとか舞台が中心だったと思うんですけど、今はそれに加えて、コマーシャルとか、バラエティーやトーク番組、ラジオとか多くの表現の場がありますからね。僕自身、自分のことを「本格派俳優」と意識することもありませんし。

林:これだけのキャリアを積んでるのに?

高橋:はい。今はジャンルのこだわりとかはあまりないですね。昔は、小劇場出身の人間がテレビで忙しくなったりすると、「あいつ、テレビに魂を売りやがった」とか羨ましさ半分、冗談で言ってたんですけどね(笑)。

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