
「性犯罪の加害者は犯行を繰り返している人が目立ちますが、最近は加害者が写真や動画を撮るなど、自ら『証拠』を残していることが多くなっています。非親告罪になったこともあり、そうした証拠をもとに警察の方から被害者にアクセスでき、事件化しやすくなっている面があると思います」
丸田容疑者もそうだが、先に挙げた元教諭と元銀行員も、わいせつ行為の動画や画像を保存していたため、余罪が次々と明るみに出た。
望月弁護士は、マッチングアプリの危険性についてこう警鐘を鳴らす。
「マッチングアプリで出会った相手から性被害を受けたとの相談は増えています。アプリで知り合って間もない相手と男女の関係を持ったが、その後、連絡がつかなくなったという相談も多くあります。マッチングアプリを使うのであれば、例えば就職活動であっても、多くの人がいるオープンな場で会い、飲食の誘いは断る。飲み物などに薬を入れられないように面会中は席を外さない。どういう人と、いつどこで会うかを家族や友人に伝えたり、面会中もオンラインにしておくなど、自分で身を守る対策を取られた方がよいでしょう。企業にも、社員が学生と会う場合は会社に報告義務を課すなどしていただきたいと思います」
マッチングアプリでは加害者が出身大学や経歴を偽ることもあるが、丸田容疑者もまさにそのケースだった。前出の片田弁護士はこう語る。
「刑事裁判官だった時に裁判員裁判も担当しましたが、裁判員の処罰感情と量刑の乖離が目立つのが性犯罪の裁判でした。裁判員からみれば『こんなに軽いのか』と。ただ、起訴されていない被害を量刑に反映することはできませんので、今回も、当局がどれだけ起訴できるかで罪の重さが変わるしょう」
被害者たちが重罰を望んでいるのは言うまでもない。捜査の行方が注目される。(AERA dot.編集部・國府田英之)