この試合は敗れ王座戴冠とはならなかったが、今年9月に行われた直近の試合では、かつてヴァンダレイ・シウバにも打撃を指導したハファエル・コルデイロとヘンゾをセコンドに従え、ヒジと連打でキャリア初の打撃TKO勝ち。変化と進化の芽生えを感じさせる戦いを披露した。

 UFC誕生から間もなく30年、柔術とMMA、どちらにおいてもグレイシーの先行優位性はすでに保たれなくなっている。クロンもネイマンも柔術以外の要素(打撃や様々なトレーニング)を取り入れ、その上で苦闘を送っている。ルーツの柔術を守りながら、新たなものを取り入れ磨く――MMAにおけるグレイシー柔術の現状、あるべき姿を彼らが象徴的に表しているのかもしれない。