『地球の歩き方 世界244の国と地域 2021~2022』
『地球の歩き方 世界244の国と地域 2021~2022』

 旅の図鑑シリーズの編集担当、福井由香里さんはこう語る。

「コロナの影響で取材ができず、発売が2カ月ずれてしまいましたが、本来は東京オリンピックに合わせ、この2冊を同時期に発売する計画でした。『地球の歩き方 東京』が五輪をきっかけに開催地東京を知る赤版としたら、『旅の図鑑』は参加する国々について知る青版というイメージです」(福井さん)

 しかし、コロナ禍が長引き、事態は一変した。

 そもそも『地球の歩き方』の海外版は、毎年のように情報を更新して改訂したものを新たに発売するが、コロナの影響で現地の情報を盛り込み、改訂することが難しくなった。そこで当初は単発の企画として終わる予定だった『旅の図鑑』をシリーズ化することになったという。なかには、世界各国にある巨大な像を特集した『世界のすごい巨像』といった企画まで登場し、話題となった。

■ヒットの裏に「子ども」人気

「元々、地球の歩き方ガイドブックはニューヨークやパリなどの王道のスポットだけではなく、ニッチな地域も多く、この網羅性を売りにしています。旅の図鑑シリーズでも同様に、王道プラス、旅人が知りたいだろうと思う企画を大事にしています。でも、正直ここまで売れるとは思っていなかったので意外でした」(同)

 これまで『旅の図鑑』で発売されているのは全11点。ほぼ全商品が重版しており、累計部数は13万部を超えるという。ヒットの理由に、これまでの『地球の歩き方』ファン以外に加えて、意外な傾向を挙げた。

「このシリーズは、児童書と一緒に購入されている方も多いです。お子さんのいる読者の方から『どれを買ったらいいですか』と質問されることも。オリンピックは夏休みの時期とも重なったので、お子さんの自由研究に使ったという方もいたみたいですね」

■旅の「妄想」ますます膨らむ

 海外旅行が難しくなった今、読んで海外気分を味わおうという本も注目されている。

 昨年8月に発売した『妄想Trip!#おうち韓国』(朝日新聞出版)は、自宅で作れる韓国料理やカフェメニュー、日本で購入できる韓国風雑貨などを特集。発売後すぐに重版になるほどの人気だ。こうした自宅にいながらの「妄想旅」をテーマにした雑誌や本は次々と発売され、コロナ禍で成長した。さらに、旅行ガイド「るるぶ」シリーズを発行するJTBパブリッシングは、ついに地球を飛び出した「るるぶ宇宙」を発行するなど、新たなアイデアは止まらない。

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