第4の「経済連携協定の遅れ」も自民党による農業過保護政策が足かせになっていたのは周知の事実である。
第5の「厳しい温暖化ガス削減目標」に至っては、笑止千万。先進国の中で断トツに環境規制が緩いのが日本。おかげで再生可能エネルギー産業や電気自動車などの成長分野で日本は世界の競争から脱落してしまった。
第6は「電力不足」。原発が動かないから電力が足りないと叫んでいたが、大嘘だった。本来は原発に頼るより、再エネ比率を上げてエネルギー安全保障を高めるべきだったができなかった。
こうしてみると、「六重苦」という主張自体が、単なる経団連のないものねだりであり、経営者たちの自社の業績が上がらないことへの言い訳だったことがわかる。
実はこの「六重苦」は、岸田総理が、アベノミクス批判をされた時に、反論として持ち出す言葉だ。議論を刷りかえるために「六重苦」という言葉を使っているのは、安倍元総理の「悪夢の3年」と同じだ。
アベノミクスは失敗だった。その失敗について、根本から反省できない岸田政権。反省のないところでは同じ過ちが繰り返される。発足直後ではあるが、岸田政権の経済政策は失敗に終わる予感しかない。
※週刊朝日 2021年11月5日号より