監督 A・ロックウェル/29日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開/91分 (c) 2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
監督 A・ロックウェル/29日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開/91分 (c) 2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
この記事の写真をすべて見る  ジム・ジャームッシュらとともに、アメリカのインディーズ映画の雄として一世を風靡した「イン・ザ・スープ」のアレクサンダー・ロックウェル監督の最新作「スウィート・シング」。主演2人は彼の実子。母親役も実生活のパートナーが演じる。

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普段は優しいが、酒のトラブルが尽きない父アダム(ウィル・パットン)と暮らすビリー(ラナ・ロックウェル)とニコ(ニコ・ロックウェル)。ビリーは15歳。父が好きなビリー・ホリデイにちなんだ名前だ。弟のニコは11歳。母イヴ(カリン・パーソンズ)に出ていかれた父は、父親としての愛情はあるものの、酒に逃げる毎日を送るばかり。

 母の今の恋人は、クラブを経営する粗暴なマッチョ男のボー(ML・ジョゼファー)。クリスマスだから、特別に家族4人で過ごそうとするが、母はボーを連れてきて、父と大喧嘩。クリスマスは散々に。

 父が強制的な入院措置となり、2人は母の暮らす海辺の家へ行くが、あることで家から逃走。冒険の旅に出る──。

監督 A・ロックウェル/29日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開/91分 (c) 2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED
監督 A・ロックウェル/29日からヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開/91分 (c) 2019 BLACK HORSE PRODUCTIONS. ALL RIGHTS RESERVED

本作に対する映画評論家らの意見は?(★4つで満点)

■渡辺祥子(映画評論家)

評価:★★★★

自分の15歳の娘と11歳の息子を使ってインディーズ映画の名匠が撮った子供の世界。暗く物悲しげなモノクロームの画像にカラーの光が差し込んで伝える、ささやかな幸せ。子供の成長を見守る親の幸せが滲み出るようだ。

■大場正明(映画評論家)

評価:★★★★

思わず引き込まれるような親密な空気の中に、家族の優しさと残酷さが浮き彫りにされる。父親が無理やり娘の髪を切ろうとする場面には、複雑な感情が交錯し、凄みすら感じる。緻密な作りをシンプルに見せる手腕はさすが。

■LiLiCo(映画コメンテーター)

評価:★★★★

家族だからこそ撮れる、そして醸し出せる雰囲気に魅了されます。悲しいけど微笑ましい瞬間もあって、そして何があっても一生懸命生きる子供たち。深く掘れば伝えたいこともいっぱいあるからこそ静かに描いたのかも。

■わたなべりんたろう(映画ライター)

評価:★★★★

とても愛おしい映画。監督の実の子供が出ている真の意味での家族映画。その親密さが良い方向に作用して子供の成長を描くことにおいて、かけがえのない時間を表出。パーソナルながら普遍性があり、音楽の使い方も秀逸。

(構成/長沢明[+code])

週刊朝日  2021年11月5日号

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