映画の内容を無断で10分程度にまとめた「ファスト映画」と呼ばれる動画を制作し、YouTubeにアップロードしていたグループが著作権法違反で6月に逮捕されました。先日、そのうちの1人が1000万円を超える賠償金を支払うことで和解しました。
ファスト映画は、映画の内容の起承転結をナレーションなどを用いて全て紹介するもので、映画の映像をそのまま使用しているものもありました。一時期YouTubeで多く再生され、50チャンネル以上が累計2000本以上のファスト映画の動画を公開していました。ファスト映画は、完全なる著作権違反であり、映画の制作会社が得るはずだった収益を奪う形になるため、賠償の請求も当然されます。
YouTuberの多くは収益を得ることを目的に動画を制作し、投稿します。当然、素人が何も考えずに投稿する動画は再生されません。あまりに再生回数が伸びないあまり、手っ取り早く収益を得るためにアニメやテレビ番組や映画などの人気コンテンツをまとめたり、アダルトなコンテンツや過激なネタなどの「すぐに数字が取れる」動画に手を出す人もいます。ファスト映画もそのようなコンテンツの一つです。
音楽や映画の「映像」をそのままアップロードして収益を得ることは禁止されています。また、収益を得ていなくても「著作権の保有者が本来得るはずだった収益や機会を損失する行為」は違法性が認められ、賠償の対象となります。例えばアニメや漫画の二次創作でキャラクターのイメージを著しく低下させるものや、本物と誤解されるくらい類似したコンテンツ、RPGなどのストーリーが重要なゲームのネタバレを含むようなゲーム実況動画など、その侵害の基準は多様です。
日本のアニメや漫画で盛んに行われる二次創作については、「ファン活動の一環」と認識され黙認されることもあります。例えば、キャラクターコンテンツの保有者は、企業やメーカーが知的財産の使用料(ライセンス)を支払うことでグッズ等の製作をします。無断で使用料を支払わずに行う二次創作を認めてしまうと、ライセンスについての契約と矛盾するため、公に認めることはできません。しかしながら、二次創作はある種の文化であり、広告効果もあるため、厳しく罰則することはコンテンツにとってマイナスにもなり得ます。