太 栄志氏(写真/上田耕司)
太 栄志氏(写真/上田耕司)

 甘利陣営の関係者は「それは呼ばなかったからですよ」と言うが、公明党との関係は?

「甘利さんはもともと、公明党とそんなにベッタリではないんです。神奈川6区から公明党候補者が出ていた頃は、公明さんも一生懸命支援してくれましたけど、今回は出馬していない。そういう関係もあるのかなと思います」(甘利陣営関係者)

 読売新聞10月21日付け朝刊では、序盤の選挙情勢として「党幹事長の甘利と太がしのぎを削る。甘利は自民党支持層の約8割を固めたが、公明党支持層の支持は5割半ばにとどまる」と報じた。

 綾瀬市の甘利陣営の幹部はこう話す。

「それは序盤の情勢ですからね。公明党の市議会議員も立ち会い演説にきているし、『私たちも全員で回っています』と言ってくれています。それこそ、われわれ自民党の議員よりも力強くおっしゃっています。序盤は弱かったと思いますけど、だんだんと弾みがついてきたのかなと思っていますし、期待もしています」

 一方の太候補は駅頭などで13時間マラソン遊説などを慣行。「逆転の道を与えてください」と呼びかけていた。太候補を直撃すると、こう話した。

「手応えはありますけど、まだ追いついてはいないですね。『政治とカネ』の問題では、自民党では許されても、一般の有権者は怒っていますよ。公明党員の方からも『がんばれ、比例は自民党だけど、小選挙区は太に入れる』と激励してもらっています」

 甘利氏もこれまで選挙区で2回落選したことがある。

「だから、そんなに強いとは思っていません。これからの追い上げで、どう追い越せるかです」(太候補)

 太陣営で応援演説していた大波修二・大和市議はこう話す。

「甘利さんは5年半前の金銭授受疑惑の時、病院に入院して説明責任を果たさず、追及されなくなったら出てきた。そういう人が自民党の幹事長になっていては、『政治とカネ』の問題を解決できないでしょう。私たちはお灸をすえたいのです。そういう政治を作るための闘いだと考えています」

 首相官邸関係者はこう話す。

「甘利さんは幹事長でありながら最終日になっても、自身の選挙区にはりついている。それ自体、異例のことです。自民党内でも『仮に甘利さんが当選したとしても、全国各地の当落線上にある候補者を押し上げるべき立場の人が何をしているんだ』と不満が噴出しています」

 そればかりではない。

「甘利さんが応援に入った選挙区は軒並み苦戦するのではないか、と言われています。人事でやりたい放題やって、選挙はグダグタ。甘利さんが当選しても、幹事長としての進退問題が出てくるのではないでしょうか。万一に落選したら、間違いなく政局に発展するでしょう」

 いよいよ31日に審判がくだされる。(AERAdot.編集部・上田耕司)

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上田耕司

上田耕司

福井県出身。大学を卒業後、ファッション業界で記者デビュー。20代後半から大手出版社の雑誌に転身。学年誌から週刊誌、飲食・旅行に至るまで幅広い分野の編集部を経験。その後、いくつかの出版社勤務を経て、現職。

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