香川真司|PAOK
昨年サラゴサでまさかの契約解除となり、求めた新天地はギリシャ。しかし負傷の影響もあり、1月の加入から出場は8試合に留まった。今夏は「良いトレーニングキャンプが出来た」と胸を張ったが、ギリシャ・スーパーリーグ開幕戦で低調な出来に終わって以降、ベンチ外が続いている。
そんな現状にギリシャメディアの多くは批判的な報道を繰り返し、『On Sports』は「全く違いを生み出せていない。ドルトムントやマンチェスター・ユナイテッドで見せつけた半分の力も発揮できていないのだ」と辛辣に綴っている。そして、1月の売却は既定路線とも伝えた。
キャリアも終盤に差し掛かった今、重大な決断を迫られていることは確かだ。ギリシャメディアの批判も一部当てはまる部分はあるかもしれないが、ドイツやイングランド、はたまた日本代表として世界の舞台で類稀なる才能を見せてきたのは事実であり、彼にしか出せないボールでスタンドを沸かせてきたのもまた事実だ。たとえヨーロッパではなくとも、以前にも噂のあったアメリカ挑戦、そして代表で共に戦ってきた大迫や長友のようにJリーグへ戻ってくるのも魅力的な選択肢になる。
まだ32歳。日本史上屈指の司令塔が落ち込むには早すぎる。
鎌田大地|フランクフルト
フランクフルト復帰2年目となった昨季、ブンデスリーガで5ゴール15アシスト。一時チャンピオンズリーグ争いに加わる躍進を見せたチームの中心として、大きな輝きを放っていた。しかし指揮官が変わって迎えた今シーズン、システム変更もあってベンチに座る機会が増加。未だリーグ1勝とチームが不振に陥る中、現地メディアでは長谷部誠とともに「鎌田待望論」が噴出しているが、いまいちオリヴァー・グラスナーの信頼をつかめていない状況が続いている。
そんな鎌田に注目するのが、イタリアの名門ミランだ。ステファノ・ピオリ&パオロ・マルディーニSD体制で若手中心の堅実的なチーム作りに舵を切った彼らは、7年ぶりに欧州最高峰の舞台にも復帰。今季のセリエAでは開幕11試合で10勝1分けと絶好調で、11年ぶりのスクデットの期待が膨らみ続けるノリにノったチームだ。
そして復権の立役者でもあるマルディーニが、鎌田に注目しているとイタリアメディアで話題となっている。今夏にハカン・チャルハノールをフリーで放出することを余儀なくされたが、代役としてリストアップしていたようだ。依然として関心は継続していると見られ、1月にも獲得に動く可能性が囁かれている。
もし実際にオファーが来たならば、鎌田にとってはこれ以上ないチャンスだろう。確かに主戦場であるトップ下にはブラヒム・ディアスが構えているため、簡単にポジションをつかめるわけではない。だが、複数の大会を戦う中でミランがもう1人司令塔を欲しているのは事実であり、昨年のドイツでの活躍を見れば、十分に割って入る余地はある。また年齢的に見ても、チーム全体と一緒に今後数シーズンでピークを迎えられるのも大きなメリットだ。そしてなにより、ミランの絶対的なレジェンドからの誘いである。イタリア屈指の名門で、ズラタン・イブラヒモビッチの背後で躍動する……。冬の移籍市場で実現する可能性は高くないだろう。だが、そんな鎌田の姿に心を躍らせたい。