日々の生活のなかでちょっと気になる出来事やニュースを、女性医師が医療や健康の面から解説するコラム「ちょっとだけ医見手帖」。今回は「新型コロナワクチン3回目接種」について、NPO法人医療ガバナンス研究所の内科医・山本佳奈医師が「医見」します。
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今年も残すところあと2カ月となりました。先月は急に寒くなったかと思えば、半袖で過ごせる日がやってくるなど、気温差が大きかったせいか体調を崩す方が多かった印象でした。
先月から始まったインフルエンザの予防接種は、連日予約がいっぱいです。「なかなか予約が取れなくて困っているんですよ……」とおっしゃるのは、先日乗車した時のタクシーの運転手さん。「昨年のように今年もインフルエンザは流行しないかもしれないけれど、お客様にうつさないようにするには自分がワクチンを打たなくてはいけないと、コロナが流行して痛感したよ」ともおっしゃっていました。
私自身、海外渡航前に必要なワクチンや子宮頸がんワクチン、MMR(麻疹・風疹・おたふく)ワクチン、水痘ワクチンなど、自分にとって必要なワクチンは親の勧めや自分の判断でこれまで接種してきました。正直なところ、新型コロナウイルスが流行するまでワクチンを接種することの重要性を深く考えてはいませんでした。
けれども、実際にコロナのパンデミックを経験し、感染を予防するにはどうすればいいのか世界中が試行錯誤を続ける中で、新型コロナウイルスワクチンが開発され、このワクチンの効果が科学的に証明され、自分自身もコロナワクチン接種業務に従事し、世界中の人々に急ピッチで接種がなされていく過程を目の当たりにし、ワクチン接種の重要性を肌で感じました。
今年の5月頃から本格的に始まったコロナワクチン接種ですが、Our World in Dataによると10月28日時点で少なくとも1回接種した人の日本の割合は77.5%、2回接種を終えた人の割合は71.5%となりました。昨年の12月から接種が開始されていたアメリカやイギリスの接種率をすでに超える水準です。大きく出遅れた時、そして夏に感染が拡大した時にはどうなることかと思いましたが、半年でここまで接種が進み、人口の7割もの人が接種を終えることができたことはひとえに、ワクチン接種が全国の自治体で早急に行われるよう、菅前総理がリーダーシップをとってくださったからだと私は思っています。