現役時代は近鉄の「いてまえ打線」で活躍した村上氏は19年から2年間、中日の1軍打撃コーチを務め、今季は巡回打撃コーチを務めていた。だが、チーム総得点を見ると、19年の563得点はリーグ5位、昨年はリーグワーストの429得点。今季もさらに下回るリーグ断トツ最下位の405得点と貧打を解消できなかった。根尾昂、石垣雅海ら期待の若手も伸び悩んでいる。手厳しいかもしれないが、ソフトバンクファンからも「なぜ村上氏を招聘した?」と疑問の声が上がるのは致し方ないかもしれない。
だが、結果を出せば見方も変わる。ソフトバンクは松田宣浩、中村晃、今宮健太と黄金時代でレギュラーを張った選手たちが不調や故障で陰りが見え始め、レギュラーをつかむ若手たちの育成が急務となっている。今季自己最多の86試合に出場した三森大貴、34試合出場で7本塁打と長距離砲の片鱗を見せたリチャード、強肩強打に定評がある谷川原健太ら楽しみな素材が多い。
投手陣はリーグ屈指の陣容だけに、打線が機能すれば十分に戦える。1軍打撃コーチに就任するとみられる村上氏、長谷川氏の手腕が注目される。(牧忠則)