ある市場関係者は「情報通信、医療・介護、教育支援関連の銘柄に注目している」と話す。
広木さんは、介護や看護、保育の業界で賃上げ方針を打ち出していることから、注目株に「エス・エム・エス」を挙げる。医療・看護関連プラットフォームなどを手掛けている会社だ。デジタル化の加速では、ビッグデータ処理などを手掛ける「ダブルスタンダード」などにも注目する。
窪田さんは、製薬会社の営業支援や医療データも扱う「ケアネット」、医療関係のデジタル化で恩恵を受けそうな「エムスリー」などを挙げる。自治体のデジタル化で恩恵を受けそうなのが「ITbookホールディングス」。新型コロナの感染拡大が落ち着いたことで、新幹線事業の落ち込みが大きかったJR各社や、航空会社、外食産業などの業績のリバウンドに期待する。子育て・教育支援では「ソラスト」「ポピンズホールディングス」にも関心を向ける。
小林さんは、新型コロナの感染拡大の落ち着きで旅行業界も注目されるが、注意して銘柄を選定する必要があると話す。
「旅行業界はダメージが大きく、資本を棄損している会社もある。今後の資本増強で新たに発行する株が増えると、株式が希薄化する」(小林さん)
岡三証券の小川佳紀投資情報部長は、デジタル化や再生可能エネルギーなどミクロ政策について「菅(義偉)政権の路線を踏襲していくのでは」とみている。再生エネ関連で、風力発電の風車素材の炭素繊維を扱う「東レ」や、太陽光パネルを手掛ける「ウエストホールディングス」などを挙げる。
第5世代移動通信システム(5G)について、窪田さんは、いまは対応する端末が普及していく段階と指摘。スマートフォン向け電子部品や半導体の需要が見込まれるが、端末メーカー大手は中韓勢で、日本企業への恩恵は大きくないとみる。それでも、電子部品で恩恵を受けるとすれば、「村田製作所」などを挙げる。
株式アナリストの鈴木一之さんは、行政のデジタル化で、「日本電信電話(NTT)」や「NTTデータ」、「富士通」や「日立製作所」などを挙げる。