世界のなかで最も早くコロナワクチンの接種が進んだ国の一つ、イスラエルでは、すでに3回目の接種を受けた人も増えている。国立ヘブライ大学のニシム・オトマズキン教授によるコラム「金閣寺を60回訪れたイスラエル人教授の“ニッポン学”」。今回は、ワクチン接種が進んだイスラエルの日常と、日本の現状への「懸念」を語る。
【写真】コロナ後に人が戻ってきたイスラエル・テルアビブのビーチ
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新年度10月上旬から、私は勤務先のエルサレムの国立ヘブライ大学で人文科学部の学部長を拝命しました。新しい職務は今までの日本研究者としての生活だけでなく、いろいろな学科の人々との調整などとてもエキサイティングな役職です。
そして新学部長となった私にとって、最も幸せなのは、学生たちが再びキャンパスに戻ってきたことです。今年度は大学のすべての授業がキャンパス内で行われ、特別なコースのみZoomを使用することにしました。
学生たちは少なくとも2回新型コロナウイルスのワクチン接種を受けたか、または過去48時間以内の有効なPCR検査の陰性証明書を持っていれば、誰でも授業に参加することができます。大学はまた、留学生や国外からの学者の受け入れも再開しました。イスラエルに到着後PCR検査を受け、1週間の検疫の後、2度目の検査を受けて陰性であれば、検疫は終わり授業に出席できます。
2020年3月から始まったコロナ禍で、長い間キャンパスでの授業が閉鎖されていたので、学生と教授が再び面と向かって話し合うのはとてもエキサイティングで、生活を正常に戻す必要があることを痛感しました。
イスラエルの感染状況は、特に7月から3回目のワクチン接種(ファイザー)を開始して以来、改善しています。現在、約900万人の人口の70%以上がワクチン接種を受けています。政府は、さらに12歳以上のすべての人を対象に、前回のワクチン接種から半年以上経った人々に3回目の接種を進めることに決め、人口の3分の1以上がすでに3回目を受けました。