これは、イスラエルが約1年近い厳しい社会閉鎖から再び通常の生活に戻ることを積極的に選択したことを意味します。今は学校、 市場、ショッピングモール、サッカースタジアムが再開し、11月からは外国人観光客の受け入れも再開します。
しかし同時に、夏から始まった第4波は高い感染率で、多い時には1日あたりの新規感染者数は1万人を超えていました。900万人の人口では比較的高い率です。入院患者も多く一時期は病院が限界に近づきました。そして重症患者や死者の多くは、ワクチン接種をしていない、もしくは3回目をまだ受けていなかった人でした。
政府はまた、国民にPCR 検査を行うことを奨励し、無料で気軽に検査を受けられるようにしたことで、毎日何千人もの人々が検査を受けました。当然のことながら、より多くの人々が検査を受ければ、新規感染者数も増えることになります。日本では、検査を受けるのが複雑でまたとても高価なので、検査を受ける人は少なく、感染者数は報告されている数よりも実際は多かったのではないかと私は思っています。
イスラエルからの教訓で明らかなことは、国が人々の行動を管理してウイルスの拡散を止めることはできないということです。ニュージーランドのような遠隔の孤立した国やコミュニティーでさえ、コロナウイルスは広がり続けています。しかし、ワクチン接種は真の「ゲームチェンジャー」であり、常に検査ができる体制との併用で日常の生活に戻ることを可能にしました。
しかし、実はもっと大事なことは、 ウイルスに感染し続けることへの心の準備かもしれません。言い換えれば、正常に戻ることは各人の意識的な決断なのです。 コロナ感染の広がりは続くかもしれませんが、人々が家族や友人と会うこともまた大事なことだと認識することです。
別の言い方をすれば、イスラエルではワクチン接種と通常の生活との間に「トレードオフ」の関係があるようです。この国でのワクチン接種率が高いのは、家族や友人と会わない、人と楽しむための外出を避ける、といった厳格な行動制限を維持し続けることを拒否するという表れです。